鹿を罠で捕獲する方法の一つにくくり罠があります。
くくり罠とは踏み板、バネ、ワイヤーで構成された罠で、獣道や鹿のたまり場に設置し、その上を鹿が歩くと罠が作動、ワイヤーが鹿の足に絡みつく仕組みです。
忍び猟や流し猟と異なり、自ら鹿を探しに行かなくとも、自動的に鹿を捕獲することができるのが罠猟の魅力ですが、適切な場所に設置出来ていないと、いつまで経っても獲物がかかりません。
また、くくり罠で捕獲した鹿は足をワイヤーで括られた状態で暴れまわるので、筋肉にストレスがかかってしまい、食用には向きません。
実際に、くくり罠で捕獲した鹿を捌くとわかりますが、肉に血がまわって変色しており、また臭みもあります。
鹿肉が目的で、美味しく鹿肉を食べたいのであれば、罠を利用せず、銃を用いて一発で仕留めるのがおすすめです。
罠の設置場所
くくり罠を使用する上で最も大切なのが罠の設置場所です。
適切な場所に設置されていれば、1週間以内に獲物がかかりますが、そうでないといつまで経っても獲物がかかりません。
逆にいうと、一週間以上獲物がかからなければ、そのまま設置し続けても獲物がかかる確率はかなり低いので、設置場所を変えてみるのが無難です。
基本の設置場所 獣道
基本の設置場所は獣道です。
古く使われなくなったものではなく、草の倒れ具合や足跡を見て、直近で鹿が通った痕跡のある獣道に設置します。
獣道の見つけ方ですが、牧草地や畑の中にいる鹿が逃げていった草むらを探す、秋から冬にかけて草の丈が低く歩きやすいときに実際に山の中に入り確認する等で見つけることが出来ます。
注意点としては、季節によって鹿の移動ルートが異なるため、複数の獣道をあらかじめ見つけておき、季節に応じて、その獣道を本当に鹿が通っているかを判断することが必要です。
鹿が通っている獣道を見つけるとが出来たら、画像のように、獣道上で倒木があり、かつ近くにくくり罠のワイヤーを固定できる木がある場所を見つけます。


もし、倒木がなければ、自分で倒木を持ってきて、獣道上に設置します。
鹿は倒木や障害物があると、必ずまたぐように通過する習性があるので、倒木の前後で足を着きそうな場所に罠を設置します。
足を着きそうな場所を選定したら、そこに30cmほどの穴を掘ります。
浅い穴だと、罠だけ作動して獲物には逃げられてしまう空はじきが発生する可能性があるので、30cmは深さを掘るのが望ましいです。

穴を掘ったら、その上に罠を設置します。
罠のまわりにはこぶし大の大きさの石で囲い、鹿が罠のまわりではなく、罠の上を踏むように誘導します。
もし石がなければ、木で代用します。
罠の上には落ち葉や土を被せてカモフラージュします。
このとき、落ち葉を載せすぎたり、大きな落ち葉を使用すると、ワイヤーに落ち葉が絡まり、うまく罠が作動しないことがあるので、程々にしておきます。
また、罠のまわりに枝を槍状に刺し、鹿が罠を踏むように誘導してあげるのも有効です。

最後に、近くの木にワイヤーをシャックルで固定すれば罠の設置完了です。
ワイヤーは木の低い位置に固定してしまうと、鹿がワイヤーを引っ張ったときにワイヤーと地面が並行になって力が伝わりやすくなるので、なるべく木の高い位置に固定します。
こうすることで、鹿がワイヤーを引っ張りにくくなり、罠も破損しにくくなります。

下の画像は別の場所に設置した罠の例です。
倒木の手前に罠を設置し、罠のまわりを石と木で囲っています。
ワイヤーは倒木が頑丈そうであったので、倒木に固定しています。

獣道以外の設置場所 小林式誘引捕獲法
どうしても獣道を見つけられない、そんなあなたにおすすめなのが小林式誘引捕獲法。
小林式誘引捕獲法とは、林野庁の小林さんが開発した手法で、餌でおびき寄せた鹿をくくり罠で捕獲するというものです。
林野庁のホームページで詳しい設置方法が紹介されているので、詳しくはこちらからどうぞ
https://www.rinya.maff.go.jp/j/kokuyu_rinya/kobayashishiki/kobayashishiki.html
鹿を誘引するための餌についてですが、地域ごと季節ごとに鹿の好みが異なるため、いろいろな餌を試して鹿の反応をみてみる必要があります。
私が住んでいる地域では、まわりに麦畑が多いせいか、圧ペン大麦が有効でした。
鹿の餌の選択性についての研究結果があるので、興味ある方はこちらからどうぞ
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2030903135.pdf
小林式誘引捕獲法は、私の住んでいる地域では、餌の少ない冬から春先には効果がありましたが、餌の潤沢な季節には効果が薄く、ほとんど罠にかかりませんでした。
これは地域性もあると思われるので一概には言えませんが、季節に関係なく使える獣道上への設置、餌の少ない季節に有効な小林式誘引捕獲法、2つの手法を使い分けることで、より効率的な鹿の捕獲が可能になると思われます。
おすすめのくくり罠
おすすめのくくり罠はこちら
良いところ
この罠の一番の良いところは、価格がやすいところです。
どんなに高価なくくり罠を買っても、ワイヤーがほつれたり、バネがねじれたりと、故障はつきものです。
その点、こちらの罠はフルセットで4000円以下、壊れてもパーツごとに部品を調達可能なので、安く修理できます。
最悪、一回の使用で壊れても、鹿の駆除費用で元を取ることが出来ます。
次に、これは良いところでもあり、悪いところでもありますが、バネか強力であることです。
バネが強力であるため、罠をセットするときにかなりの力を要しますが、その分、作動時にワイヤーでくくる勢いが早く、空はじきがかなり少ないです。
また、長すぎず、短すぎず、ちょうどいい長さのワイヤーも評価ポイントです。
悪いところ
逆に、この罠の悪いところは、値段が安い分、作りがチープだということです。
踏み板はプラスチックで出来ているため、鹿の踏みどころが悪いと簡単に割れてしまいますし、そうでなくとも経年劣化で2年持たずに破損します。
また、より戻しも強度がなく、大きなオス鹿がかかると、より戻しが破損してちぎれることがあります。
一つの罠を長く使いたいという方にはおすすめできませんが、壊れてもその都度修理できる方や、使い捨てでも良いという方、試しにくくり罠を使ってみたいという方にはおすすめです。

