公益社団法人畜産技術協会の”毛皮のなめし方”を参考に毛皮をなめしてみました。

鹿の毛皮の仕上がりとして、毛付きでなめすのか、毛なしでなめすかの二通りありますが、今回は鹿の毛皮をラグにしたかったので、毛付きでなめしています。
また、なめし液の違いで、ミョウバンなめしとタンニンなめしがありますが、今回は比較的簡単にできるミョウバンなめしでいきます。
鹿の毛皮を見繕う
まず、鹿の毛皮を見繕います。
オス鹿の毛皮をなめしたかったのですが、残念ながらメス鹿しか仕留められなかったので、今回はメス鹿の毛皮をなめしていきます。

鹿を仕留めたら、上から吊るして、丁寧に毛皮を剥いでいきます。
脱脂、除肉
毛皮を剥いだら、脱脂、除肉の工程です。

コンパネの上に毛皮を広げ、高圧洗浄機を用いて丁寧に脂肪と肉を取り除きます。
真っ白になるまで脂肪と肉を取り除いたら完了です。
この工程が一番辛く、また、ここで手を抜くと後の仕上がりに影響を与えます。

洗浄
脱脂、除肉が終わったら、毛皮を中性洗剤を用いて洗います。
バケツに入れて、もみ洗いし、再びコンパネ上に毛皮を広げて、高圧洗浄機で洗い流します。


なめし液に浸す
洗浄が終わったら、なめし液に毛皮を浸します。
なめし液はミョウバン、塩、水を混ぜて作ります。
ミョウバンは焼きミョウバンではなく生ミョウバンを使用します。

分量は諸説ありますが、ミョウバンの量が少ないとうまくなめせないことがあるので、ミョウバンの量を多めに、
水1Lに対して生ミョウバン200g、塩100gでなめし液を作ります。
鹿の毛皮1枚であれば、10Lの水でちょうどいいので、水10L、生ミョウバン2kg、塩1kgでなめし液を作ります。


なめし液を作ったら、毛皮を浸します。

毛皮を入れただけだと、毛皮が浮いてくるので、毛皮の上に重しを載せて、なめし液にしっかりと毛皮が浸かるようにします。

一日一回、なめし液を撹拌し、7~14日間、なめし液に浸します。


毛がない面を指で強く押し、指の跡の跡が残るようであればなめし完了です。
今回私がなめした時は11月~12月で、気温が10度以下と低かったので、2週間ほどなめし液に漬け込みました。
一般的に化学反応速度は温度が10℃上昇するごとに2~4倍に増大するので、気温と相談して、皮の様子を毎日確認するのがおすすめです。
洗浄
なめしが終わったら、ミョウバンや塩まみれになった毛皮を軽く洗います。
ミョウバンなめしでは、水洗いすると、せっかくなめしたものが生皮に戻ってしまうため、そのまま脱水するのが一般的のようですが、ミョウバンや塩が残ると、仕上がりがゴワゴワになってしまうので、私は毛がある面だけ軽く洗浄します。

使用するのはこちらのボディーソープ。

ボディーソープをたっぷりと付けて、高圧洗浄機で洗い流します。

毛のない面は最終的にヤスリがけするので、多少塩がついていたり、汚れていても大丈夫です。
乾燥

洗い流したら、物干し竿にかけて水気をとります。

最初は外で干していましたが、外気温が0℃と低く、全く乾かなかったので、作業小屋に移動して乾かしました。
加脂
おおよそ半日~1日乾燥させ、毛皮が完全に乾ききらず、半乾きの状態になったら油を摺り込み工程に移ります。


タッカーを用いて、毛のある面を下にしてコンパネに打ち付けます。
乾燥が進むと毛皮が縮んていくので、毛皮を引っ張りながら打ち付けていきます。


次に毛皮に加脂剤を摺り込んでいきます。
加脂剤は米油、中性洗剤、水を15g、10g、50ccの割合で混ぜて作ります。

肉面にたっぷりと加脂剤を摺り込みます。
この作業を行ったときは、皮を乾燥させすぎてしまい、真ん中部分がカチカチに乾燥してしまいましたが、加脂剤をたっぷりと刷り込むことでなんとかなりました。
伸ばし

毛皮が完全に乾いたら、コンパネから毛皮を外し、伸ばしの作業に移ります。
テーブルの角に毛のない面を押し当て、引き伸ばしていきます。
硬かった皮がしっとり柔らかくなれば完了です。
仕上げ

毛のない面の汚れが気になる場合は、600番程度の紙やすりで軽く磨き上げます。


また、毛のない面に更にしっとり感を出したい場合は、鹿の脂を溶かして塗り込みます。
鹿の脂の精製方法はこちら

最後に毛皮をブラッシングしたら完成です。
鹿は毛が硬いため、触り心地がいいというわけではありませんが、その分野性の強い生命力を感じられる仕上がりになります。


